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2022.12.01
「振替休日」と「代休」の違い
休日に出勤して代わりに勤務日を休日にすることは、よくあることと思います。
そんな時「振替休日を取得した」のか「代休を取得した」のか、なんとなくどちらでも同じように思ってしまいませんか?
ところが「振替休日」と「代休」は、その取扱いが違います。

休日に出勤したけど代わりの休みは取れるの?
あらかじめ休日と決まっていても、その休日に出勤する必要が生じることがあります。
「休日の振替」とは、あらかじめ休日と決められていた日に出勤し、その代わりにほかの出勤日を休日にすることです。
ただし、休日の振替をする場合は、就業規則などで休日を振り替えることができることを定めておく必要があります。
これにより、あらかじめ休日と決められた日が出勤日となり、その代わりに振り替えた日が休日になります。
この場合には、もともとの休日に出勤しても「休日出勤」にならず、休日労働に対する割増賃金の支払いも必要ありあません。
これに対して「代休」とは、休日出勤などが行われた場合に、その代わりとして以後の特定の出勤日を休日とするもので、前もって休日を「振り替えた」のわけではなく「代休」を与えることで休日に勤務したことが平日に労働した扱いになることでもありません。
したがって、休日出勤の割増賃金を支払う必要があります。
休日出勤の割増賃金を支払うのだから、その日に代わる休日を与える必要がないことになります。
もっと簡単に言うと、急に休日に出勤してほしいとなったら「代休」で、代わりに休む日をあらかじめ決めてから休日に出勤して、その決められた日に休んだら、それは「振替休日」です。
ただし、いずれの場合も割増賃金については、少し細かい決まりがありますので注意が必要です。
2022.09.16
令和4年10月1日以降、大阪府の最低賃金額は1,023円。ついに1,000円代に突入!
東京、神奈川に続き、ついに大阪も時給1,000円時代に突入しました。
少し前の時代、日本の時給が1,000円になったらマクドナルドが潰れる、なんていうことを語っている評論家もいたように思います。

兵庫県は960円です。訂正します。
昨年の最低時給改定に合わせてパートさんなどの契約時給を1,000円ちょうどに設定していた事業主様も多いのではないでしょうか?
さすがに当面はこれで行けるような気がしていました。
確かに首都圏ではいち早く1,000円の大台を超えていたのですから大阪でも1,000円を超えても、もはやおかしくない状況にはあったのです。
例えばパート従業員の方にしてみると・・・時給が上がることは良いけれど、年間103万円の範囲内で収入を抑えるには勤務時間を少なくしなければいけない。でも、そんな訳にもいかない。時給が上がっても健康保険、厚生年金に加入することになれば実収入は激減してしまう。
でも、時代は、もうそんなことを考えて働くことを許さなくなっているのかも知れません。
2022.07.30
2025年(令和7年)以降も65歳定年義務化にはなりません!!
2025年(令和7年)4月以降、65歳定年制度の導入が義務化される、という誤った情報や認識をお持ちの事業所様がいらっしゃいます。
最近は70歳までの就業機会の確保が努力義務となっていますので、将来的には65歳定年を義務化するということも有るかもしれません。・・が現時点では、65歳定年が義務ではありません。

お疲れ様でした!!
このような誤解の原因は、現在、65歳までの雇用確保について労使協定で「継続雇用制度の対象者を限定する基準」を定めている事業所に対する経過措置が2025年で廃止されることが、65歳定年制度の義務化につながると「混同」されていることではないでしょうか?
もし、65歳定年制度が義務化されれば当然に退職金の支給基準にも影響が出てきます。
また労働者にとっても体調不良などにより60歳の定年を機会に退職したいと考えている場合に「自己都合」退職になってしまいます。
こうなると労使双方に相当な影響があります。
結局のところ65歳までの継続雇用に基準を設けていた事業所は、対象者を限定することが出来なくなって、希望者を65歳まで継続雇用する義務が生じる、ということです。
ただし、これは60歳以降も継続雇用を希望する労働者が対象です。
ですから、経過措置対象ではない事業所については、今のところ2025年になっても変更がありません。
というわけで、2025年(令和7年)から定年年齢が65歳に引き上げられるわけではありません。
2022.06.12
健康診断実施後の措置(就労判定)
労働安全法に基づく健康診断実施後の措置について、最近、労働基準監督署から「就労判定」の実施を指導されることが増えています。

健康診断の結果を見るときは、少しドキドキしますね。
事業者は、健康診断の結果、異常の所見があると診断された労働者について、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について医師等の意見を聴取し、必要があると認めるときは当該労働者の実情を考慮して就業場所の変更等、適切な措置を講じなければなりません。
この法律独特の言い回しを少し簡単に説明すると・・
① 医師等:歯科医師による健康診断もあるため、このような表記になっています。
産業医の選任の義務がある事業所では「産業医」であることが適当です。
産業医の選任の義務のない事業場では地域産業保健センターを活用することが便利です。
② 医師の意見:就業区分及びその内容に関する意思の判断
就業区分とは、「通常勤務」「就業制限」「要休業」などの区分を言います。
医師等が就業区分を判定することになり、これがいわゆる「就労判定」です。
③ 事業者は就業判定の結果、就業制限を必要とする労働者には、あらかじめ当該労働者の意見を聴き、十分な話し合いを通じて、その労働者の了解が得られるように「努める」こととされています。
2022.05.06
休業中の従業員に定期健康診断を受診させる必要はあるのでしょうか?

健康管理に大切な定期健康診断
育児休業や療養のために休職中の従業員にも定期健康診断を受診させることは必要でしょうか?
こんな質問を顧問先から最近いただきました。この事例の場合は自己都合による休職中の従業員の方の扱いをどうするのか、という内容でした。
平成4年3月13日の(基発)第115号の通達には以下のように記載されています。
「事業者は、定期健康診断を実施すべき時期に労働者が育児休業、療養等により休業中の場合には、定期健康診断を実施しなくても差し支えないものであること。」
このことから、育児休業中の従業員でも定期健康診断を実施しなくてよい、というのであるから療養等による休職中の者、今回のように自己の事情により休職している者に対してまで定期健康診断を実施する必要はないと推測できます。
ただし、「差し支えない」という微妙な表現であることから、積極的に受診を勧める必要までは無いと考えるのが妥当かも知れません。