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2021.01.13

通勤労災と自動車保険の関係 どちらを選ぶ?

通勤途中に交通事故にあった場合。

通勤労災を申請することも選択肢としてあります。

通勤労災を申請するとどうなる?

自動車や自転車通勤を認めている事業所は多いと思います。通勤途中に交通事故にあった場合、基本的には被害者、加害者の保険で補償をします。ところが相手方が任意保険に加入していないとか、自分が任意保険に加入していないなど、どうすれば良いのか?従業員や事業主の方から相談があります。

むしろ最近は保険会社から通勤労災を申請してください、と言われることが増えているように思います。

では、通勤労災を申請すると、どんなメリットやデメリットがあるのでしょうか?

通勤労災

メリット

① 休業給付の支給は自動車保険より早く行われることがあります。通勤労災の休業給付は請求の期間が特には決まっていないため、早い段階から何回かに分けて支給を申請することができます。

② 万一、身体に障害が残った場合に障害等級に該当すれば、それに応じて障害一時金や障害年金を受給することができます。

③ 自動車保険から休業補償を受けた場合でも、さらに平均賃金の20%に相当する特別支給金を受給することができます。

④ 症状が固定するまで比較的長い期間にわたって対応することができます。

逆にデメリットはあるのでしょうか?考えられることとして。

① 労災支給にかかる申請用紙に加えて「第三者行為災害届」の提出が必要になること。

② 通勤労災は会社側には責任はありませんが上記の書類の提出のために事務担当者の手間をかける可能性があります。

当然のことですが、自動車保険からの休業補償と労災の休業給付をダブルで受給することはできません。労災として支払われた給付と自動車保険から支払われた補償は相殺されます。

また、レアなケースですが最近あった事案で、従業員の方が任意保険に加入していなかったため、従業員側には保険会社の窓口担当者が存在しないので、直接相手方保険会社に従業員が交渉しなければなりませんでした。加えて本人には相手方の車両の修理代金を支払う能力が無く、相手方保険会社の交渉が有利に進むような状況です。本人は労災保険から自分の補償は出るから、治療費や休業補償の分まで相手方への求償を放棄する示談を行う心づもりだったようです。すべて会社が労災の手続きをするし、お金は労災からもらえて自分のバイクは自分で修理すれば良いし楽だと思っていたのではないでしょうか?

もし本人が全部の損害を請求する権利を放棄する示談をしてしまったらどうなるかと言うと。そもそも労災は本人が損害を請求する権利を肩代わりして実行し、労災給付を行うものです。この権利が本人に無い場合、政府としても支払った損害金を請求する権利が存在しないことになり、通勤労災そのものが成立しなくなります。

通勤途上の事故には当て逃げや自損事故もあります。その場合には相手方が不明でも存在しなくても通勤労災は成立します。これは本人が請求する権利を放棄しているわけではないからです。

レアなケースとは思いますが、示談する際には気を付けなければならない、ということを痛感した事案です。

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