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2021.09.12
最低賃金の額が引き上げられます
中央最低賃金審議会の小委員会は2021年度の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げ、時給930円とすると決定した。
28円の引き上げ額は02年度に時給で示す現在の方式となってから過去最大となります。
大阪は992円です!
最低賃金は都道府県ごとに決められています。最も水準の高い東京は1,041円、最も低い沖縄などは820円。高知県は沖縄と同じ820円で意外な気がします。
逆に北海道は889円なので、沖縄や九州に比べて結構高いです。
最低賃金制度は働くすべての人に賃金の最低額を保障するものです。年齢やパート、アルバイトなどの働き方の違いにかかわらず、また外国人労働者も含め、すべての労働者に適用されます。
最低賃金の算定の対象となるのは、賃金のうち毎月支払われる基本的な賃金です。したがって臨時に支払われる賃金、賞与、時間外割増賃金は除外されます。また精皆勤手当、家族手当も除外します。
雇用主が労働者に対し最低賃金未満の賃金しか支払っていない場合、雇用主はその差額を支払わなくてはなりません。このとき雇用主は、地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない場合には50万円以下の罰金に処せられることがあります。
このように平均最低賃金が1,000円に近付いてきた今、雇用主も労働者も賃金を確認する意識が必要です。
2021.08.17
慶弔見舞金の相場と規程の変更
あなたの会社の慶弔見舞金の金額や内容は妥当ですか?
既にある慶弔見舞金規程の金額を変更する場合は、不利益変更になる場合がありますので注意が必要です!
慶弔見舞金は通達(昭和22.9.13基発17)により原則として任意、恩恵的なものであって賃金とはみなされない。
しかし・・・就業規則等によって、あらかじめ支給条件の明確なものはこの限りではない=賃金とみなされる。
金額の減額や廃止をする場合、就業規則の「不利益変更」という問題が生じる可能性があります。
あなたの会社の慶弔見舞金の金額や内容はどうでしょう?
① 金額は妥当ですか?
【結婚祝金】
相場30,000円
勤続年数により金額を変える場合が多く見受けられます。また新婚者と再婚者で金額に差を付けていることもあります。再婚者は半額!とか・・・
【出産祝金】
相場:第1子 10,000円 第2子以降5,000円
第2子以降、半額程度に減額する会社も多いです。
中には逆に第3子以降20,000円ずつ加算する会社もあります。

出産祝金 第1子と第2子以降で金額が違う会社が多いのは何故?
※ 相場金額は参考数字です
【傷病見舞金】
相場 業務上10,000円 業務外 10,000円
原因を業務上と業務外に分けて支給する会社が多いです。
【死亡弔慰金】
相場 業務上 1,000,000円 業務外 250,000円
こちらも原因が業務上と業務外で金額が変わる場合が多いです。金額については会社によって上下の幅がとても大きいという印象です。
2021.07.18
社会保険の適用拡大
2022年(令和4年)10月から従業員数が101人以上の企業に勤務するパートタイマーさんは、健康保険・厚生年金に加入する必要があります。

週20時間以上勤務するパートタイマーさんも社会保険に加入できるようなります。
この制度は、現在501人以上の従業員を雇用する企業には、すでに義務付けられている内容です。
これが令和4年10月から従業員101人以上の企業にも適用を義務付けられるようになります。
さらに2024年(令和6年)10月から従業員51人以上の企業にまで適用が拡大されます。
ただし、パートタイマーさんは次の4つの加入条件をすべて満たす必要があります。
① 週の所定労働時間が20時間以上
② 2か月を超える雇用の見込みがある
③ 月額賃金が8万8千円以上
④ 学生でないこと
注意事項を3つ挙げておきます。
1. 従業員数のカウント方法 → A+Bの合計
A フルタイムの従業員数
B 週労働時間がフルタイムの3/4以上の従業員数
※ 今後対象となる週20時間以上の従業員は含まない
2. 企業の範囲 → 「法人番号」が同一であること = 健康保険の事業所番号ではない
3. 月額賃金 8万8千円の算定方法 → 基本給および諸手当で判断⇔「精皆勤手当」「通勤手当」「家族手当」は含まない
週20時間以上30時間未満の契約で働くパートタイマーさんを大勢抱える企業様は早い目の対応をすることが大切です。
2021.06.11
国際自動車 残業代未払い事件 割増金から残業代を差し引く
2021年3月10日、歩合給から残業代相当額を差し引く仕組みが、事実上の「残業代ゼロ」であるとして争っていた事件で、会社側が未払いの残業代として約4億円の解決金を支払うことで原告側と合意しました。

簡単に表すとこのような内容です
裁判では、仕事の能率を評価することを前提に定められた「能率給」(売上高に応じた歩合給から残業代相当額を差し引く仕組み)の是非が争われていました。
最高裁は、この仕組みでは労働基準法に定める割増賃金が支払われたことにはならないという判決を下しました。また、割増賃金を支払ったかどうかを判断するには、通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できる必要があることも示されました。(資料:労務マガジン6月号)
この会社の給与規定は独特なもので一般的にはわかりづらい内容です。
でもタクシー運転手さんとかトラックドライバーさんのような仕事では、どれだけ人を運んだか、あるいは荷物を運んだか、が歩合給として支給されていることが多いですね。
その歩合を稼ぐのに、残業をたくさんして稼いでもそれは時間をたくさん使った結果であって、売り上げを上げるには通常の勤務時間内で上げてください、という会社側の意向を反映したものでしょうか。
でも、やっぱりそれはいけませんということですね。
2021.05.20
テレワークに変更後の通勤手当は、どうなる?
出勤しないなら支給無しでOK?テレワークに変更後の通勤手当

資料出典:労務マガジン
通勤手当として毎月の定期券代を支給している従業員が、業務のほとんどをテレワークで行うことになりました。出勤しなくても業務は遂行できるため、今後の出勤はほぼなくなるものと思われます。そこで通勤手当を勝手に外しても良いのでしょうか。テレワーク勤務になっても、通勤手当として定期代は支給するべきなのでしょうか?
【結論】 そもそも労働基準法では、定期代などの通勤手当の支給を義務付けていません。法律的に表現すると労働契約は労働者の「持参債務」です。しかし、会社の就業規則や賃金規定、雇用契約書で「通勤手当を支給する」とだけ規定している場合は、労使間の合意に基づく賃金の一部という扱いになり、会社の都合で減額したり、不支給にすることはできません。
就業規則や賃金規定次第では在宅勤務でも全額支給の必要あり
もし、就業規則で通勤手当について「通勤手当として毎月の定期券代を支給する」とだけ規定している場合は、実際の出勤日数とは関係なく会社はその月の通勤手当を支給しなければなりません。
極端な話、テレワークにより1日も出勤しない、つまり通勤費はかからない場合であっても、定期券代を支給する必要があるのです。このように昨今のテレワークの浸透により、従来の通勤手手当の規定では現状にそぐわない会社もあることでしょう。
ではどのような場合であれば減額や不支給が可能になるのでしょうか。
規定に支給基準を定めてあれば減額も可能
規定に「賃金計算期間の全日数にわたって通勤の実態がない場合には、通勤手当は支給しない」や「〇〇日以上通勤しない日がある者の通勤手当は、日割り計算とし、実際の通勤日についてのみ支給する」など支給基準を定めておけば、実費分のみの通勤手当の支給が可能です。
在宅勤務を導入するときは、就業規則の通勤手当を確認し、何日以下の出社では実費精算にするのか、在宅勤務中に業務で交通機関を使う場合はどうするのかなど想定できる項目を明確に規定しておくことが大切です。